妊娠中の痔はよく見られる症状で、短期間だけでなく長期にわたって不快感が続くこともあります。
ここでは、妊娠中に痔が起こる原因と、赤ちゃんに影響を与えないための予防や治療の進め方を解説します。
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妊娠中の痔はなぜ起こるのでしょうか
妊娠中の痔は、肛門周辺の血管が腫れて炎症を起こすことで生じます。肛門は消化管の最も末端にあり、大腸の最後の部分である直腸につながり、排便を調節する役割を担います。この部分の粘膜の下には静脈の集まりがあり、それらが拡張して腫れると痔核になります。(出典:NHS)
妊娠中は子宮が大きくなり、ホルモンも変化します。大きくなった子宮が肛門を圧迫することも重なり、この部分の血管が腫れて炎症を起こしやすくなり、痔につながります。
妊娠中の痔の原因となる要因には、次のようなものがあります。
子宮の増大:大きくなった子宮が、肛門やその周辺の血管を圧迫することがあります。
ホルモンの変化:妊娠中のホルモンの変化が、肛門の血管の拡張に影響することがあります。
便秘:便秘により、肛門周辺にうっ血が起こることがあります。
同じ姿勢で立ったり座ったりすること:長時間同じ姿勢で立ったり座ったりしていると、血液が腹部へ戻りにくくなることがあります。
妊娠中の痔は、関連する生活習慣の見直し、食生活の管理、運動、医師が処方した薬やクリームの使用などで治療します。症状が非常に重い場合や、通常の治療で改善しない場合は、医師による詳しい診断や追加の治療が必要になることがあります。
妊娠中の痔は危険ですか
痔は、妊娠中の女性に見られる健康上の問題です。妊娠中の痔は、多くの場合、深刻な危険があるものではありませんが、不快感や痛みを伴うことがよくあります。ここでは、痔の詳しい説明と段階に応じた治療について紹介します。
痔核の進行度:
- 第1段階:出血はありますが、痔核の脱出はありません。
- 第2段階:排便時に痔核が脱出しますが、自然に元に戻ります。
- 第3段階:排便時に痔核が脱出し、自然には元に戻りません。
- 第4段階:排便時だけでなく、排便していないときも常に痔核が脱出しています。
痔は自然に治りますか
痔は、出産後に自然に治る場合があります。出産によって子宮が小さくなり、筋肉が緩むことで、痔が軽減します。圧迫が減ることや正常な経過での出産は、炎症の軽減につながることがあります。
妊娠中の痔の治療方法
妊娠中の痔には、症状の重さに応じてさまざまな治療方法があります。ただし、治療を始める前に医師へ相談し、正確な診断と適切な治療方針を確認してください。また、生活習慣の改善や日頃の健康管理も、妊娠中の痔の治療と予防に重要な役割を果たします。
食物繊維をとること:食物繊維の多い食品は排便を促し、肛門への圧迫を軽減します。
水分補給:水を十分に飲むことで消化を助け、便が硬くなるのを抑えます。
運動:ウォーキングなど、医師が許可した軽い運動は、腸の動きを促し、便秘の軽減に役立ちます。
薬やクリームの使用:炎症や痛みを和らげるため、さまざまな成分を含む薬やクリームを医師が処方する場合があります。
輪ゴム結紮、注射、手術などの処置:妊娠中は通常、これらの処置を行いません。出産後に自然に改善する例が多いため、多くの医師はまず症状を和らげる治療を行い、出産後に改めて状態を評価します。妊娠中の処置は、重い合併症がある場合に限って検討され、医師が個別に判断します。
妊娠中の痔の治療は、医師に相談しながら、それぞれの状態に合った適切なケアと治療を受けることが大切です。
妊娠中の痔に使う薬
妊娠中に痔になった場合は、医師の指導に従い、症状を和らげる薬の使用など、適切な治療を受けられます。主に使用される薬は、いくつかの種類に分けられます。
食物繊維の補助食品や便秘薬:便秘のときに使用し、便を柔らかくして排便しやすくします。医師または薬剤師が、妊娠中でも安全に使えると勧める種類を選んでください。
痔の坐薬や塗り薬:痛み、ヒリヒリ感、かゆみを和らげます。製品によっては、ステロイドや局所麻酔薬が含まれています。妊娠中は自己判断で購入して使わず、医師または薬剤師に薬の種類と使用期間を決めてもらい、添付文書または医師の指示に従って使用してください。ほかの痛み止めも併用したい場合は、妊娠中に痛み止めを飲んでもよいですかで注意点をご確認ください。
妊娠中に薬を使う際は、医師と薬剤師の指示に従ってください。医療従事者から受けた薬の使用上の指示を守ることが大切です。
また、食物繊維の多い食事、水分の十分な摂取、運動など、日頃の健康管理も痔の軽減に重要です。
妊娠中に痔になったときのセルフケア
妊娠中はお母さんの健康が大切ですが、排便の悩みはよくあることなのに、話すのを恥ずかしく感じる方も少なくありません。痔も、多くのお母さんが経験する悩みの一つです。症状を和らげるために、自分でできる簡単なケアがあります。
肛門の健康管理:便意を長く我慢せず、排便後は清潔にして肛門の健康を保ちましょう。
皮膚のケア:排便後はお尻を清潔な水で洗い、水分を拭き取って乾かしてください。刺激となる成分を含む洗浄用品は避けましょう。
温かいお湯での座浴:熱すぎない温かいお湯に、1回10–15分ほどお尻を浸すと、痛みやかゆみの緩和に役立ちます。その後は柔らかい布で優しく押さえるように水分を拭き取り、強くこすらないでください。
ゆったりした服を着ること:ゆったりして着心地のよい服を選び、体を締め付けるズボンは避けましょう。
食生活を整えること:野菜、果物、穀物など、食物繊維の多い食品を食べ、水分を十分にとって消化管の潤いを保ちましょう。
寝る姿勢:お腹が大きくなってきたら、仰向けではなく横向き、特に左側を下にして寝ることで、子宮による骨盤周辺の血管への圧迫を軽減できる場合があります。
運動:軽い運動を行い、排便時には強くいきまないようにしましょう。医師から個別の指示がある場合は、それに従ってください。
ストレスの緩和:十分に休み、ストレスを和らげましょう。好きなことをして過ごすのもよい方法です。
これらのケアは、痔の症状を和らげ、妊娠中の不快感を軽減するのに役立ちます。ただし、症状が重い場合や改善しない場合は、医師に相談して助言や追加の治療を受けてください。
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痔を予防する方法
妊娠中は、お母さんの健康を大切にしたい時期です。痔はこの時期によく起こる悩みの一つです。予防のために、次のような簡単な工夫を取り入れましょう。
姿勢を変えること:長時間同じ姿勢で座ったり立ったりするのを避けましょう。寝るときは左側を下にして横向きになり、お腹への圧迫を減らしましょう。
肛門の健康を保つこと:野菜、果物、穀物など食物繊維の多い食品を食べ、水分を十分にとって消化管の潤いを保ち、肛門の健康を守りましょう。
運動:軽い運動で排便に関わる働きを促しましょう。排便時に強くいきむことや、深く体を曲げる動作の多い活動は避けてください。
皮膚のケア:排便後はお尻を清潔な水で洗い、水分を拭き取って乾かしてください。刺激となる成分を含む洗浄用品は避けましょう。
消化器のケア:野菜や果物など、食物繊維の多い食品を選びましょう。具体例は妊娠中の栄養補給に役立つ果物をご覧ください。食物繊維の少ない加工食品を控え、鉄剤で便秘がひどくなる場合は、自分で服用をやめず、医師に相談してください。
体重管理:体重を適切な範囲に保ちましょう。体重が多いと、お腹への圧力が増すことがあります。
セルフケア:同じ場所に長時間座り続けるのを避け、休息をとり、ストレスを和らげましょう。
これらの方法は、妊娠中の痔のリスクを減らすのに役立ちます。ただし、症状や普段と違う変化があれば、医師に相談して治療を受けてください。
注意点:肛門から大量の出血や出血の持続がある場合、強い痛みがある場合、強く痛む暗紫色の硬いしこりに触れる場合(血栓ができている可能性があります)、発熱や黒い便がある場合は、速やかに医師の診察を受けてください。また、出血が肛門からなのか腟からなのか分からない場合は、直ちに病院を受診してください。妊娠中の腟出血は、必ず診察を受ける必要があります。(詳しくはNHSをご覧ください)
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まとめ
妊娠中の痔は、大きくなった子宮による圧迫、ホルモンの変化、便秘、長時間同じ姿勢で立ったり座ったりすることによって、肛門周辺の静脈が拡張し、腫れることで起こります。
予防には、食物繊維の多い食事、十分な水分補給、便意を我慢しないこと、排便時に強くいきまないことが大切です。体を動かし、座る姿勢や立つ姿勢もこまめに変えましょう。
症状がある場合の基本的なセルフケアは、清潔を保つこと、温かいお湯で座浴をすること、ウォーキングなどの軽い運動を行うこと、医師または薬剤師が勧める薬だけを使うことです。処置や手術については、通常、出産後に検討します。
妊娠中の痔は、お母さんに痛みや不快感をもたらしますが、一般的に赤ちゃんへの危険はなく、出産後に自然に改善する方も多くいます。
参考資料:
https://www.vejthani.com/2022/01/4-reasons-why-hemorrhoids-appear-during-pregnancy/
https://www.nhs.uk/pregnancy/related-conditions/common-symptoms/piles/
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/23498-pregnancy-hemorrhoids
https://www.pregnancybirthbaby.org.au/haemorrhoids-during-pregnancy


