妊娠は心躍る経験ですが、さまざまな体の不調も伴います。妊婦さんによく見られる症状の一つが、腰痛です。
この記事では、妊娠中の腰痛を和らげる3つのコツと、速やかに受診したい注意すべき症状をご紹介します。
妊娠中の腰痛
腰痛は誰にでも起こりますが、妊娠中は起こりやすくなります。体重が増え、お腹が大きくなると体の重心が前に移動し、腰の反りが強くなるためです。また、妊娠中のホルモンの働きで、出産に備えて骨盤周辺の靱帯や関節が緩むため、背中や腰の筋肉がより多く働く必要があります。
妊娠中の腰痛は、主に腰の下部に起こり、股関節やお尻、骨盤周辺にまで痛みが広がることもあります。
痛みの強さや頻度には個人差があります。軽い痛みは、温める・冷やす、休む、姿勢を見直すといった方法で和らぐことが多いです。痛みが強い場合は、医師や理学療法士に相談してください(詳しくはNHSをご覧ください)。
妊娠中の腰痛を予防・緩和する方法
妊娠中は、特に初期と後期に腰痛に悩まされることがあります。ただし、妊娠中の過ごし方によって、腰痛の予防やコントロールに役立てることができます。ここでは、妊娠のさまざまな時期の痛みを軽減するためのコツをご紹介します。1. 適切な靴を履きます
適切な靴は体重を均等に分散し、関節や腰への負担を軽減します。ヒールが低く、足裏のアーチを支える柔らかい靴底で、足に合ったサイズの靴を選びましょう。妊娠中は足がむくむこともあります。
ハイヒールは避けましょう。重心が前に傾いて腰の反りが強くなり、膝や股関節への負担が増えるほか、つまずいて転ぶリスクも高まります。
2. 妊婦用サポート用品を使い、長時間立つときは足を休ませます
妊娠中に使えるサポート用品には、妊婦用サポートベルトや腹帯(maternity support belt)などがあります。お腹の重みを支え、特に長時間立ったり歩いたりするときの腰の下部への負担を減らします。締めつけが強すぎず、体に合ったサイズを選びましょう。持病や合併症がある場合は、使用前に医師へ相談してください。
台所仕事などで長時間立つ必要があるときは、片足を低い椅子や安定した箱に載せ、時々左右を替えましょう。腰の反りを抑えられます。また、こまめに座って休むことも大切です。それでも腰の痛みが強い場合や、ほかに気になる症状がある場合は、適切な診断と治療を受けるために医師へ相談してください。
3. 寝るときと仕事で座るときの姿勢を整えます
適切な寝方や座り方は、腰痛の軽減に大きく役立ちます。寝るときは膝を軽く曲げて横向きになり、膝の間とお腹の下に枕を入れるか、妊婦用の抱き枕を使いましょう。腰をしっかり支えられる適度な硬さのマットレスを選び、妊娠約28週以降は横向きで寝始め、長時間の仰向け寝は避けてください。
仕事で座るときは、背中を支える背もたれのある椅子を選びましょう。小さなクッションを腰の下部に当ててもよいです。足の裏を床や足台につけ、こまめに立ってストレッチや歩行をし、同じ姿勢で長く座り続けないようにします。腰の痛みが強い場合や改善しない場合は、適切な診断と治療を受けるために医師へ相談してください。
適切な座り方の選び方
適切でない座り方は、妊娠中の腰痛の原因になることがあります。適切な姿勢で座ることで、腰への圧迫を減らし、痛みを和らげやすくなります。- 背中を支える椅子を選びます 背もたれの高い椅子は、座っている間の腰の下部と肩を支えます。
- 椅子の高さを調節します 足の裏を床につけ、膝と股関節の角度が約90度になるようにします。背筋を伸ばして背もたれに背中をつけ、前かがみや猫背を避けましょう(関連記事:妊娠中に避けたい5つの座り方)。
- 長時間同じ姿勢で座り続けることは避けます 長く座る必要があるときは、途中で立って体を動かし、腰への圧迫を減らしましょう。
腰に負担をかけにくい寝方
適切でない寝方は、妊娠中の腰痛を悪化させることがあります。
妊娠中におすすめの寝方は横向きです。左右どちらでも、楽な側を選べます。次のように姿勢を整えましょう。
| 姿勢の整え方 | ポイント |
|---|---|
| 横向きになり、膝を曲げます | 膝を軽く曲げて膝の間に枕を挟み、股関節から背中にかけて一直線になるようにします。 |
| お腹の下に枕を入れます | 小さな枕をお腹の下に入れるか、妊婦用の抱き枕を使い、腰の下部が引っ張られる負担を減らします。 |
| 長時間の仰向け寝は避けます | 妊娠約28週以降は、横向きで寝始めましょう。長時間仰向けで寝ると、子宮が太い血管を圧迫し、めまいが起きたり、赤ちゃんに届く血液が減ったりすることがあります。目覚めたときに仰向けだった場合は、横向きに戻れば大丈夫です。 |
夜間は、楽に感じる方に合わせて左右の向きを替えてかまいません。背中や腰、股関節周辺の筋肉の疲れを軽減できます。
妊娠中に腰が痛いときに見直したい生活習慣
日常生活の習慣を見直すことは、妊娠中の腰痛を和らげるうえで大切です。背中や腰、骨盤周辺の筋肉と関節への負担を減らせるためです。 妊娠中の腰痛を和らげるために、次のことを見直してみましょう。- 腰をしっかり支えられる適度な硬さのマットレスで、横向きに寝ましょう。柔らかすぎて体が沈み、腰が反るものは避けます。
- 背もたれのある椅子に背筋を伸ばして座り、30–60分ごとに立って姿勢を変えましょう。
- ハイヒールは履かないようにしましょう。膝や股関節への負担が大きくなり、腰痛の原因になります。
- ウォーキング、水泳、妊婦向けのヨガやピラティスなどの軽い運動を定期的に行い、背中や腰、お腹の筋肉を強くしましょう。運動を始める前に医師へ相談し、異常を感じたらすぐに中止してください。
- 重い物を持つことは避けましょう。床にある物を拾う必要があるときは、膝を曲げて背筋を伸ばしたまま腰を落とし、背中を丸めたり体をひねったりしないようにします。
- 長時間立ち続けることは避け、荷物を持つときは左右の重さを均等にしましょう。
- 温かいお風呂に入ったり、妊婦へのマッサージ経験がある人に軽くマッサージをしてもらったりして、リラックスしましょう(関連記事:妊娠中にマッサージを受けてもよいですか?)。
注意:速やかな受診が必要な腰痛 腰痛に次の症状を伴う場合は、すぐに医師へ連絡してください。発熱、性器出血、排尿時の痛み、左右いずれかの肋骨の下の痛み、妊娠中期から後期にかけての規則的な腰痛やお腹の張りは、早産の兆候である可能性があります(関連記事:妊娠中のお腹の張り)。また、脚・お尻・性器にしびれがある、または感覚がない場合は、直ちに病院へ行くか、1669に電話してください。
妊娠中の症状と予防についてのよくある質問
妊婦さんの多くが腰痛を経験しますが、妊娠中の症状には妊娠していないときとは異なる特徴があります。この症状に悩んでいる方は、予防や痛みを和らげる方法について、知りたいこともあるでしょう。ここでは、妊娠中の症状と予防について、よくある質問をご紹介します。 妊娠中の腰痛はなぜ起こりますか? 妊娠中の腰痛には、さまざまな原因があります。主な原因は、体重が増え、お腹が大きくなることで重心が変わり、腰の反りが強くなることです。また、妊娠中のホルモンによって骨盤周辺の靱帯や関節が緩むことや、座る・立つ・寝るときの適切でない姿勢も関係します。 妊娠中の腰痛を和らげるにはどうすればよいですか? 十分な休息、適切な食事や運動、温めることなど、さまざまな方法があります。適切な座り方や、腰に負担をかけにくい寝方を選ぶことも、痛みの軽減に役立ちます。 妊娠中に腰が痛いときは、何を避けるべきですか? 大きな体力を要する活動や長時間立ち続ける活動は避けましょう。長時間立ったり歩いたりする仕事、急な動き、衝撃の強いスポーツ、重い物を持つことなどが該当します。 出産後、腰痛はいつ治まりますか? 多くの場合、腰痛は出産後に徐々に改善します。体全体の回復には約6–8週間かかりますが、抱っこや授乳によって、それ以上続く方もいます。改善しない場合は、医師や理学療法士に相談してください。 妊娠中に腰が痛いとき、痛み止めを飲んでもよいですか? まずは姿勢の見直し、温めること、休息、軽い運動など、薬を使わない方法から試しましょう。痛み止めが必要な場合は、必ず医師や薬剤師の指示に従って使用し、痛み止めや筋弛緩薬を自己判断で購入して飲まないでください(関連記事:妊娠中にパラセタモールを飲んでもよいですか?) 腰痛に悩みながら、出産後の生活に向けて情報を探している方のために、ABC the Babyが役立つ情報をまとめました。こちらをクリック!参考情報:https://www.nhs.uk/pregnancy/related-conditions/common-symptoms/back-pain/
https://www.acog.org/womens-health/faqs/back-pain-during-pregnancy


